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2017-08-30
8/30/2017 その言葉、標準語?
こんにちは。テキサス支店の山田です。
突然ですが、質問です。

「鍵をかう」「机をつる」「えらい」

もちろん日本語ですが、意味は分かりますか?
この言葉を聞いてパッと

「鍵をかける」「机を運ぶ」「疲れる」

と翻訳をすることができたあなたは愛知県出身者、あるいは知り合いに愛知県人がいる方
のはずです。
先日、ダラスで愛知県に縁のある方数名とお会いする機会がありました。私は普段話をする時に「愛知県出身なのにあまり方言が出ないね」と言われることが多いので、愛知の方言はすっかり消えたものだと思っていました。ですが、愛知県出身の方に言わせるとまだまだ愛知独特のアクセントが残っているようで、しかも尾張出身とすぐに言い当てられてしまいました。周りの方の方言に影響された可能性もありますが、自分自身が方言と思っていないということはよくあるもので、少し気になって調べてみました。すると愛知県人が標準語だと思っている方言が次から次へ出てきました。

ほんだで=だから、それで
おおちゃくい=なまけた、悪い
おかって=台所
しゃびんしゃびん=水っぽい、とろとろ
けった=自転車
どべ=最下位
わや=台無し

そういえば、祖父母が「誰々がござるでよ~」という言葉を使っていて、忍者なのか?と思った時期があったことを思い出しました。ござるは「いる・ある」の尊敬語ですが、当時の私には忍者の言葉にしか聞こえませんでした。標準語と名古屋弁のバイリンガルに育ててくれた環境に感謝し、これからも愛知の良さを広めていきたいと思います!!

2017-08-23
8/23/2017 移動中に何かしますか?
皆さんこんにちは。NYの菱沼です。

さて、今回は、移動中の過ごし方について書いてみようと思います。
と言うのも、とあるお客様が出張時のフライト(機内)での過ごし方について、面白いお話されていたので、自分はどうしていたか、回りの乗客はどうしていたか?考えみようと思ったのです。

この話の元になったお客様ですが、出張が多く、毎週の様に飛行機を利用されていて、ラウンジや機内でも仕事をしようとするが、疲れて寝てしまったり、そこまで集中ができなかったりだそうで。であれば、違うことに時間を使おうと、映画を見るようにしたそうです。しかし、ただ映画を見るのではなく、往路に日本語吹き替え版をみて、復路にオリジナル版を見るそうです。吹き替えで完全に内容を把握し、オリジナル版でオリジナルの雰囲気と英語での再確認を行うそうです。これは良いアイディアだと思いました。
私も毎月のように出張で飛行機に乗りますが、まわりの乗客はラップトップを開いて仕事をする人、読書する人、タブレットで映画を見る人とそれぞれです。私もたまに刺激を受けて、ラップトップを開くものの、睡魔に襲われ、直ぐに閉じる日々が続いておりました。。。しかも、短距離便が殆どなので、映画を見ている時間も無いのです。しかし、何もしないのは勿体無い!という事で、早速このブログを機内で書いております。周りのアメリカ人には何やら変な言語で書類を作成している怪しいアジア人に映っていることでしょう。(これが日本の国内線だったらこのブログを書くことは難しいかもしれませんね。。周りの目が気になって。笑)

そういえば、以前、車での出張が多いお客様で、やはり移動中の時間が勿体無いとのことで、オーディオブックでビジネス関連、語学といった本を片っ端から聞きながら運転されていた方がいらっしゃいました。運転中の時間もできることはあるんだな、と感心しました。そうこうしている内に、最終の着陸態勢に入ったようです。こうして何かをしていると、あっという間に目的地に着いてしまうんですね。体力が残っていれば、何かに時間を使ったほうが良さそうです。寝ることも必要だとは思いますが。。。みなさんは移動中、どのように過ごされますか?
2017-08-16
2017.8.16  Bob Geldofに学ぶリーダシップ術 後編
さて、前回は、Do they know it’s Christmas ビハインドストーリーをご披露し、このレコードの制作、販売に関わった全ての関係者が1ぺ二-も儲けていないどころか、費用は自腹、という、欲とMoney絶頂期のバブル時代にBob Geldofが起こしたミラクルに影を差した、イギリス政府の消費税徴収、でお話しが終わりましたが、後編では、このストーリーから学ぶリーダーシップ術について少々考証をいたしたいと思います。

イギリスはもとより、このレコードは世界中でヒットし、それまで、チャリティーや他人の、ましてやアフリカなんていう遠いところに住む人たちの不幸なんて政治家や宗教家の仕事、自分には関係のないこと、と無関心だった普通の人たち(特に若者)の意識を変える大きな出来事となりました。このレコード制作に関わったミュージシャンたち、そして、その後の様々なアーティストたちが、~~エイド、という社会活動に関与していくきっかけにもなり、生みの親、Bob Geldofには、Saint Bobなんていうニックネームがつき、売名行為だ、問題の解決なんてできない、といったシニカルな批判ももちろんありましたが、Bob Geldofが望むと望まないとには関わらず、彼は社会の注目を集めることになります。

1985年2月、Bob GeldofはDaily Starという新聞が毎年社会に貢献した人物に贈るGold Star賞の受賞者の一人に選ばれました。その授賞式で受賞者を讃える演説を行ったサッチャー首相は、この演説でこんな風にBob Geldofについて触れています。

...And we also find our pop stars under Bob Geldof's leadership, converting their musical tribute into food and shelter for the hungry. I would like to add my personal thanks to all who contributed to that inspired piece of music-making.
It means so much that those who our young people revere and idolise should give a lead for good. It lifts everyone. It lifts our country.

サッチャー首相ってご存知ですか?ひよこ組さん年長組さんグループの皆さんにはこれまた、???っていう時代の方ですが、Iron Ladyとまで呼ばれたイギリスの首相で、Mrs. Margarette Thatcher、イギリスで初めての女性の首相です。サッチャー首相について語るとまた長くなってしまうので、また、いつか(The Iron Ladyという映画にもなった人です。ご興味があれば是非、ご覧あれ。)、機会があれば。“大胆”で強烈なリーダーシップをふるいイギリスを世界のリーダーとして脚光を浴びる舞台に再度導いた歴史に残る人物ですが、そのサッチャー首相に“リーダー”としてお墨付きをいただいBob Geldof。
Band Aid、そして翌年に行ったLive Aid、どちらも前代未聞の寄付金を集め(Band Aid-USドルにして2400万ドル、Live Aidは1億5千万ドル-30年も昔のことです。)大成功を収めたと言えると思いますが、いずれのイベントもBob Geldofのリーダシップなしでは成功はおろか、形にさえなっていなかったはずです。

では、このチャリティーイベントを成功に導いた、Bob Geldofのリーダーシップとは?

日本で経営の神様と呼ばれ、いまだに著書が多くの日本人経営者のバイブルとなっている松下幸之助さん。ある新聞社の取材で、指導者にとって絶対に持っていなければならない条件を一つだけ挙げるとすると、という質問を受けて、こう答えたそうです。

「う~ん、そうですなあ、ひとつね、ひとつだけですな。ま、ひとつだけ指導者に必要な条件を挙げよと言われれば、それは、自分より優れた人を使えるということですな。そう、これだけで十分ですわ」

どんな優秀な人でも一人でできることは限られている。優秀な社員を集め、育て、その社員を活かすことができれば大きなことができる。だから、そういう能力があればリーダーとして十分だ、という理屈のようです。

Bob GeldofはまさにBand Aidというプロジェクトにおいて、これをやってのけたのだと私は思います。

じゃ、なぜ彼は自分より優秀なポップスターたちを集め、彼らの能力を活かすことができたのか、その要因を考えてみました。

考察その1:明確な使命
1984年10月23日にテレビのニュースでエチオピアの飢餓に苦しむ人たちの映像を目にした時に彼が抱いた使命はその後、一切ぶれることがありませんでした。彼らに食べ物を届けたい、ひとつの命でも救いたい、そのために多額のお金を集める、全額をエチオピアに届ける、です。非常にシンプルでストレート。Feed the World!

考察その2:自己認識、できないことを認識する勇気
Bob Geldofは自分にできること、できないことをしっかり認識するところからスタートします。自分にできることは音楽、でも既に落ち目の元ポップスターではスターパワーがない。お金もない。自分一人では何も達成できない。少し前までは世界中でチヤホヤされ人気絶頂だった芸能人にとって自分にスターパワーがないという事実に直面するのは勇気がいることなのではないかと。

考察その3:ビジョン
自分にお金がなかった、ということもあるとは思いますが、寄付をしようぜ、とミュージシャン仲間に声をかけて少人数から多額の寄付金を募ったところで、役に立つような金額にはならないけれど、1枚たった数ポンドのレコードが数多く売れれば、多額を集めることができる。誰もが買わずにはいられないような“売れる”レコードを作り、レコードが“売れる”ステージをセットアップしよう、というビジョン。売れるレコードを作るには、大衆にリーチできるスターパワーとクリスマスというイベントを利用するんだ、というビジョン。ポイントは名曲を作ることではなく、“売れる”曲を作る、こと。Bob GeldofもMidge UreもこのDo They Kow It's Christmasという歌自体は決して素晴らしいものではない、って言っています。Midge Ureは後年のインタビューで、この歌についてこう話しています。”It's never been a great song. It's kind of grown into a better song than it ever was. But as a recording, as a production, I'm immensely proud of it. So is Bob. Because it did its job phenomenally.” 
そして、売り上げは全て、1ペニーだって、エチオピア以外の誰にも渡さない。誰も、このプロダクションから1ペニーだって儲けない、これも大切なビジョンであり、Bob Geldofの約束でした。

考察その4:計画的でスポットオンな人選
スターパワーのリクルーティング。素晴らしい人選です。
まず、Midge Ureをパートナーに選んでいます。偶然の産物のように説明されていますが、私は絶対に彼の計画的な行為だったに違いないと思います。Midge Ureという大売れのミュージシャンとの共作によるチャリティーソング、というMidge Ureのブランドパワーが必要だったのはもちろんのこと、Midge UreはBob Geldofの長年の友人でBob Geldofをよく理解していた人物だったこと、Bob Geldofが動とすると、Midge Ureは静。Bob Geldofが感性と感情をエネルギーにして前に突き進むタイプだとすると、Midge Ureはしっかりと物事を積み上げて事を完成させる能力をエネルギーに前進するタイプ。作詞作曲はもちろんのこと、バンドのフロントマンとして歌うことも、楽器と言えばギターも弾けばキーボードも叩く。電気エンジニアのバックグラウンドがあり、シンセサイザーを操って音楽を完成させることもできれば、ミキシングもできるミュージシャン。1ペニーも無駄にしない、という使命のもと、彼らは、既存のクリスマスソングのカバーという選択肢は捨てました。著作権料がかかるからです。そして、バンドを作りバンドメンバーを集め音合わせをする時間もなかったので、楽器演奏は全てMidge Ureがシンセサイザーで完成させる必要があったのです。Midge Ureなくして、このプロジェクトはありえなかったことを、Bob Geldofはわかっていたという考察です。歌詞はBob Geldofの書いたオリジナルがほぼそのまま使われました。使命を言葉にした、いわゆるMission Statementだったわけです。それをMidge Ureは尊重したんだと思います。Bob GeldofにはMidge Ureの友情と理解が必要だったんです。
Midge Ureをパートナーとしてゲットした後は、更なるスターパワーブランディングとスターパワーボイスのリクルーティングです。11月23日にロンドンのレコーディングスタジオに集まったBand Aidのメンバーは以下のとおり。彼らには熱狂的なファンが世界中にいて、その世界中のファンの心に大きな影響力を持っていた、そんなスーパースターたちです。
Band Aid performers
Vocalists:
• Robert "Kool" Bell (Kool & the Gang)
• Bono (U2)
• Pete Briquette (The Boomtown Rats)
• Adam Clayton (U2)
• Phil Collins (Genesis and solo artist)
• Chris Cross (Ultravox)
• Simon Crowe (The Boomtown Rats)
• Sarah Dallin (Bananarama)
• Siobhan Fahey (Bananarama)
• Johnny Fingers (The Boomtown Rats)
• Bob Geldof (The Boomtown Rats)
• Boy George (Culture Club)
• Glenn Gregory (Heaven 17)
• Tony Hadley (Spandau Ballet)
• John Keeble (Spandau Ballet)
• Gary Kemp (Spandau Ballet)
• Martin Kemp (Spandau Ballet)
• Simon Le Bon (Duran Duran)
• Marilyn
• George Michael (Wham!)
• Jon Moss (Culture Club)
• Steve Norman (Spandau Ballet)
• Rick Parfitt (Status Quo)
• Nick Rhodes (Duran Duran)
• Francis Rossi (Status Quo)
• Sting (The Police)
• Andy Taylor (Duran Duran)
• James "J.T." Taylor (Kool & the Gang)
• John Taylor (Duran Duran)
• Roger Taylor (Duran Duran)
• Dennis Thomas (Kool & the Gang)
• Midge Ure (Ultravox)
• Martyn Ware (Heaven 17)
• Jody Watley
• Paul Weller (The Style Council)
• Keren Woodward (Bananarama)
• Paul Young
Additional spoken messages on B-side:
1. Stuart Adamson, Mark Brzezicki, Tony Butler, Bruce Watson (Big Country)
2. David Bowie
3. Holly Johnson (Frankie Goes to Hollywood)
4. Paul McCartney
Musicians:
• Phil Collins – drums
• John Taylor – bass
• Andy Taylor – guitar
• Midge Ure – keyboards and programming

考察その5:使命を果たさなければならないというパッションと使命に対する真摯な姿勢
Bob Geldofにアプローチを受けたこれらの多くのスターたちは、彼に“まくしたてられる”までエチオピアの飢餓状態をよく知らなかったようですが、彼のストレートでパッションあふれる言葉を“浴びて”、使命を共有します。同じ人として彼らを見捨てるわけにはいかないじゃないか、という使命を抱きます。レコーディングまで2週間や10日しかない日程をみんなが無理くり調整したのも、Bob Geldofの真摯な姿勢に共感を覚えたからに違いありません。どのスターたちも、即答OKだったようです。

考察その6:使命で結ばれた仲間意識と「良い事をしている」快感、適度な緊張感の創造でパフォーマーの能力を最大に引き出す
10月23日、眠い目をこすりながら、レコーディングスタジオに集まってきたスターたち。皆が皆知り合いだったわけではありませんが、お互いに名前は十分に認識しているのは当たり前。いつもはどこに行っても特別扱いされているスーパースターたちのエゴをどうポジティブなエネルギーに変えることができたのか。Feed the Worldという使命を共有すること、大切なことをしているんだという自負と、そしてコーラスパーツを全員で歌うことで気持ちの高まりと自然にテンポラリーな仲間意識を生み出し、また、全員がそれぞれ指定されたパーツをソロで歌う、みんなが見ているんです、緊張しますよね。みんなプロですから、いいところを見せたいと思うのも当然。ほぼ全員がこの日初めて耳にしたメロディー、目にした歌詞です。自分の持ち歌のように歌いこむ彼らのパフォーマンス。誰かのためにいいことをしているんだ、という“心”の快感が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)=行動の素、意欲の素ホルモンを脳内に分泌させ、がぜんやる気満々に。エンドルフィンやドーパミンが分泌しまくり、この幸福感と緊張感が最高のパフォーマンスを引き出したに間違いなく。30年以上も経った今日、そんなことを思って聴くと、感動しますよ~。

考察その7:ぶれないビジョン、ハンドルさばき
Stingは “Where the only water flowing is the bitter sting of tears” という歌詞の下りのソロをアサインされ、嫌がったそうです。そう、歌詞に“sting”という言葉が含まれており、チープなpunチックですよね。Stingはおチャラケなタイプじゃないので、カッコ悪いと思ったんだと思います。でもBob Geldofは動じません。”sting”という言葉が含まれているからこそStingが歌わなくちゃだめなんだ、だそうです。
Bonoは“Well tonight thank God it’s them instead of you” という歌詞を与えられ、かなり嫌がったそうです。本当にこんなこと言いたいわけ?こんなこと言っちゃっていいのか? ま、そうですよね、いやぁ、苦しんでいるのが自分じゃなくてエチオピア人で良かった~、って聞こえるじゃないですか。そんなこと言いたくないですよね。でも、Bob Geldofはこれはこの言葉じゃなければいけないんだ、と言うのです。エチオピアの凄惨な映像を目にして、自分の子供がこんな思いをしていなくて心からありがたいと感じたんだ、そういう意味なんだ、と。Bob Geldofは無神論者ですが、その彼も神に感謝せずにはいられないという強い感情は、ストレートな言葉だからこそ、人々の心をつかむんだと。Bonoは理解し、この歌詞で最高のパフォーマンスをします。彼のアーティスト人生で最高のパフォーマンスとも言えるんじゃないでしょうか。
集まったBand Aidのアーティストのほぼ全員がソロ、セミソロパートを歌い、録音されますが、ソロとして最終版に登場するのはたった6名です。Paul Young, Boy George, George Michael, Simon LeBon, Sting, Bonoの6名のソロだけをBob GeldofとMidge Ureは選びました。Bob Geldof もMidge Ureもソロパートはありません(最初から予定なしでした)。最高を作り上げる責任がBob GeldofとMidge Ureにあったからです。メンバーを公平に満足させることが目的ではなかったからです。

考察その8:信頼
落ち目の元スター、Bob Geldofのこの行為を疑うメンバーがいたとしてもおかしくないと思いませんか?でも、このチャリティーレコード制作に関わった全ての多くの人たちの中に、Bob Geldofの真意を疑った人はだれ一人いないようです。

考察その9:強烈な目的達成意識=結果に対する意識
レコーディングが終了した11月25日の朝、スタジオからラジオ局に直行したBob Geldofは「この歌を好きかどうかは問題じゃない。とにかく君たちはレコードを買わなくちゃならないんだ。」と世の中に訴えます。

考察その10:徹底的にこだわる。
前回のブログの最後に、イギリス政府がレコードの売り上げに対して消費税をかけたことを書きましたが、Bob Geldofはあきらめたでしょうか?
まさか。最後の1ペニーまで全てエチオピアに渡す、と約束したBob Geldofです。責任を果たすことにとことんこだわります。イギリス政府相手に彼のとったアクションは、メディアの前でのサッチャー首相直撃、でした。
先に書いたとおり、Gold Star賞を受賞した彼は、サッチャー首相が演説をすることを知っていたから授賞式に出たんだと思います。Bob Geldofは、慈善家になる気もアフリカ問題に関わっていこうという気も全く持っていなかったので、このチャリティーレコードプロジェクトはワンショットイベントのつもりでした。なので、その後、落ち目の自分の本業をどうしていこうか、という現実問題を抱えており、売名行為だとの批判にかなりセンシティブになっていたようですから、この消費税問題がなければきっと彼は授賞式には出ていなかったはず。授賞式後のレセプションで、彼はサッチャー首相に詰め寄ります。その一部始終をテレビカメラがとらえていたのは言うまでもなく、その夜のニュースで、この様子が報道されました。

Michael Buerk, BBC(ニュース番組のアンカー):
The Prime Minister came in for some unexpected lobbying today from a pop star. Bob Geldof, winner of a newspaper award for raising millions of pounds for Ethiopia, tackled Mrs. Thatcher about the government's response to the famine and the part of the Band Aid's record profits which went in VAT payments. Michael Sullivan reports:

Michael Sullivan, BBC (ニュースレポーターのナレーション):
Mrs. Thatcher was at a London hotel to meet people cited by the Daily Star newspaper for bravery and perseverance. Seventeen people who, said Mrs. Thatcher exemplified the British spirit, like three year-old Luke Milligan who's learned to walk on artificial feet after having his own deformed feet amputated. The award winners were all suitably awe-struck in the presence of the Prime Minister, except for Bob Geldof who was not pleased at having to pay so much of the money he'd raised back to the tax man.

Bob Geldof:
Well we had a bit of a problem with the VAT on the record.

Mrs. Thatcher(サッチャー首相):
I know, but you know, don't forget, we've used some of your VAT to give back and to plough back. We've given again and again, I mean government has to get taxation from somewhere, so you …

Michael Sullivan, BBC (ニュースレポーターのナレーション):
But Bob Geldof was not deterred and displayed his brand of courage and perseverance by pressing a protesting Mrs Thatcher to do still more for Ethiopia.
***中略***
Mrs. Thatcher(サッチャー首相):
Well, look, a lot is going, a lot of surplus food is going, but don't forget …

Bob Geldof:
But Prime Minister there are millions dying and that's a terrible thing.

Mrs. Thatcher(サッチャー首相):
Indeed.

Michael Buerk, BBC(ニュース番組のアンカー):
Difficult to tell who was lecturing who.

その後、イギリス政府は、レコードの売り上げにかけた消費税を全額、Band Aid基金に寄付をする、という形で返金をしたんです。Bob Geldofのこだわりと使命感の勝利、でしょうか。

Bob Geldofによると、報道されたこの会話の後、レセプションランチでサッチャー首相と更に会話を続け、その夜、首相官邸に招待されたとのこと。ウィスキーをたしなみながら、語り合ったことで、Iron Ladyサッチャー首相も、Bob Geldofの使命への真摯な姿勢に心打たれたのかもしれません。その後、この2人の間には友情が育まれたらしいです。

以上が私のBob Geldofに学ぶリーダーシップ術。リーダーとして組織を成功に導いたのはこの10の要素だったに違いない、と考察いたしました。

経営思想家、マネージメント研究の第一人者、ドラッカー先生は奇しくも、こんなことをおっしゃっておられます。

「組織の目的は、普通の人に普通でないことができるようにすることである。したがって、組織のリーダーたる者には、成果中心の精神がなければならない。そのために必要とされるものが行動である。説教でもなければ、カリスマ性でもない。真摯さこそが、リーダーとマネジメントにとって不可欠の絶対的要件である」

「組織の精神とは、仲良くやっていくことではない。組織における判定基準は、成果であって仲の良さではない。仕事上の成果にもとづかない人間関係は、貧弱で、貧しい精神をもたらすだけである」

つまり、組織の焦点を成果に合わせる。個人としても、組織としても、成果の基準を高く持つ。成果をあげることを習慣化する…..そして、あってはならないのは、自己満足と基準の低さだ。組織の焦点は、問題ではなく機会に合わせられなければならない、ということなんだそうです。

そして、リーダーシップの3つのタスクとして、こんなこともおっしゃっておられます。
1. 組織の使命を明確に定義しメンバーに浸透させることでメンバーの意欲を促し、組織の生産性を上げ、成果に直結させていくこと。
2. リーダーシップを責任ととらえること。優れたリーダーは、責任を自分で負い、部下に存分に仕事をさせ、彼らを誇りに感じ、部下に成功させた自分の成功を誇りに思うこと。
3. 信頼が得られる人物であること。信頼されるということは、必ずしも好かれることと同義ではない。本当の信頼感は、話が信じられる、言動が一致している、一貫性がある、ここから生まれるもの。

どうです!Bob GeldofがこのBand Aidにおいてふるったリーダーシップはまさにドラッカー先生が説いていること、そのものだと思いませんか?と一人で納得した私です。

そして、ドラッカー先生のお言葉にはありませんが、私の考える最重要なポイントをお伝えして、この長い長いブログはお終いです。

私の考察 Last but not least…
Bob Geldofが抱いた使命が全く自分のためではなかったことが、Band Aidを成功に導いた彼のリーダーシップの最大のドライブだったのではないかと。人は自己の利害を超越して行動する時に、測りしれないパワーを発揮できるものなのではないか、という考察に辿り着き、ほぉ~、私ってちょっとディープ?と悦に入ってとエラソウに書いてみましたが、ちょっと調べてみたら、既にそんなこと、有名な心理学者や宗教家はトウノムカシにおっしゃっておられるということがわかりました。。。(-_-;)

お終い!最後までお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。_(._.)_

追:サッチャー首相のGold Star賞授与式のスピーチ、もしご興味があれご覧になってみてください。一国を預かるリーダーとして、国民にこの国で生きていることを誇りに思わせるような演説ができることは、仕事のひとつだろう、と思う今日この頃でございます。。。
http://www.margaretthatcher.org/document/105977

((大矢))

2017-08-09
8/9/17 Bob Geldofに学ぶリーダシップ術
こんにちは。ニューヨークの大矢です。

今回はどうしても書きたいことを書いています。どうしてもこのことが書きたくて、この1週間、何度も書き直してきましたが、どうしても、コンパクトに書けません。いつも私のブログは長~いですが、今回は短編小説くらいに長くなってしまいそうです。
というわけで、今週、来週と2回にわけて「連載」させていただくことにいたしました。読んでいただけると嬉しいです。では、スタート。

***

Bob Geldofってご存知ですか?あら、懐かしい、と思われた方は人生に磨きがかかっておられるお年頃に違いなく、なんだかエラソウな響きの名前とリーダーシップ術、という言葉から、オーガナイゼーショナルサイコロジーの権威?などと思われたかたは、概ね人生まだまだひよこ組から年長組くらいに違いなく。。。

さて、このBob Geldofという人は、1970年代中盤から後半にかけてイギリスでうまれたニューウェーブと呼ばれるジャンルの音楽時代に大人気を博したThe Boomtown Ratsというアイリッシュバンドのフロントマンでした。その後1980年代になってヨーロッパや日本で大大大大大大センセーションを巻き起こしたニューロマンティクス音楽の時代には、時代に置いて行かれ気味、“落ち目”を味わうことに。この辺の音楽はいわゆるポップミュージックで、短命なのはポップスターの運命なので仕方がないよね~、って感じです。私はもうちょっと重たいロックを好むので、1980年代は青春真っ盛りでしたが、70年代のイギリスの音楽とバンドをこよなく愛し(今もです(⋈◍>◡<◍)✧♡)、80年代の音楽は相手にしないで過ごしました(エラソウ)。そんな私でも、80年代ポップスターたちの人気ぶりは日本でもタダモノではなかったので、ブリティッシュロックを愛するモノとしては知らないわけにはいかないポップスターがいっぱいいます。デュラン・デュラン、カルチャークラブ、ワム、スタイルカウンシルなんかでしょうか。。。ひよこ組の方はご存知ありませんね(-_-;)

ところで、Do They Know It’s Christmasというクリスマスソングをご存知でしょうか?オリジナル版は1984年生まれですが、その後、3度生まれ変わっており、最新のバージョンは2014年カバーですから、ひよこ組さんたちの中にもご存知の方もいらっしゃるはず。この歌は、一言で言えば、アフリカ支援のための応援歌、です。

またまたトコロデ、質問です。強い組織のリーダーが持っているべきものは何だと思いますか?強い組織、成功する組織には、優秀なメンバーが存在するはずです。優秀な人は優秀なだけに、自負心も強く、個性的でなかなか組織の一員としての存在に落ち着かないのではないでしょうか。でもそんな優秀な個々の存在が、ひとつの組織として何かを成し遂げる時、世の中が、時代が大きく動き、世界中の人々に少なからずの影響を及ぼすのではないでしょうか。でも、スーパースターたちに自己を超越させるのはそう簡単なことではないですよね。そんなことができるリーダーってどんな人?というのが今回の私のブログのテーマです。そして、1984年10月23日、落ち目でみじめと不安に悩んでいたちょっと前までのポップスター、Bob Geldofは2か月後にその偉業を、Do They Know It’s Christmasというクリスマスソングを生み出すことで成し遂げるんです。Do They Know It’s ChristmasというクリスマスソングはBob GeldofのBrainchildです。

では、Do They Know It’s Christmasの誕生の歴史を時間を追って説明いたしましょう~。

1984年
10月23日
落ち目でみじめな気持ちに苦しんでいたBob GeldofはBBCの夜のニュース番組で放映された飢餓に苦しみ命を落としていく人たちの凄惨な姿を目にし、大衝撃を受けます。落ち目なんて苦しみじゃない、この人たちのために何かをしなければならない、とという強烈な思いに駆りたてられます。彼は考えました。毎秒毎秒命を失っているエチオピアの人たちのために自分に何ができるだろう、と。自分にはお金がないので、一人で大金を寄付することはできない。じゃ、お金を作るにはどうしたらいいのか?自分にできるのは音楽。でもどんなにいい音楽を作っても今の自分やRatsのブランドにはヒット曲を生む力がない…

11月2日
Bob Geldofのパートナー、Paula Yates、彼女は当時イギリスで大人気だった音楽番組のパーソナリティーで、この日の番組収録を終了し、控室でゲスト出演者だったMidge Ureと雑談をしていた時にBob Geldofから電話がかかってきます。Midge Ureは当時イギリスはもとよりヨーロッパで売れまくっていたUltoravoxというバンドのフロントマンで、Bob Geldofの古くからの友人でした(ヴィエナ~♪)。Midge Ureがそこにいることを知ったBob GeldofはMidge Ureに電話を代わってもらい、エチオピアの飢餓のニュースを見たか?何かしなくちゃいけないんだ、と電話口で叫びまくり、その熱意に押し倒されるようにMidge UreはYesと言うことに。私が思うに、これは偶然の産物ではなく、偶然に見せかけたBob Geldofの計画に裏付けられた行動だったに違いありません。Bob Geldofはニンキモノの力を必要としていたわけですが、ニンキモノならだれでもよかったわけではなく、Midge Ureでなければいけなかったんだと思うのです。検証は後程。

11月5日(お~、私のバースデー(^^♪)
Bob GeldofはMidge Ureに会いに行きます。何ができるんだろう、と検討した結果、クリスマスソングのチャリティーレコードを作ろう、有名なミュージシャンを集めてクリスマスソングを収録しようということになりました。でも実はこれも既にBob Geldofの頭の中では決まっていたことだったはず。というのも、彼はこの日、ノートに書きなぐった歌詞となんとな~くのメロディーラインを持ってやってきていたからです。

11月5日~11月23日
Midge UreはBob Geldofのアイデアをモチーフに自宅のスタジオでDo They Know It’s Christmas制作に入ります。クリスマスショッピングに間に合うようにレコード(はい。当時はレコードというものでした。ご存知ですかレコードって?)を世の中に生み出さなけれならないわけです。普通なら少なくとも数か月はかかる作業を2週間でこなさなければならないという大使命をかかえたMidge Ureは作曲のみならず、レコーディングに必要な声以外の“音”を全て自宅のスタジオで収録し、Bob Geldofの歌詞を使ってこのクリスマスソングを完成させます。ご馳走を食べプレゼントを送り豊かな祝賀のひと時を過ごす人たちに、明日の命さえわからない飢餓に苦しむ人たちがいることを、この歌で思い起こさせ、Feed the World!と人々の心に訴えるためのクリスマスソング、Do They know It’s Christmasが生まれました。そしてレコードカバーのデザインはPeter Blake。ビートルズのSgt. Pepper's Lonely Club Bandのカバーの撮影で有名なポップアーティストです。

で、Midge Ureが音楽を生み出すプロセスに昼夜没頭する間、Bob Geldofは何をしたか、です。Midge Ureという大物との共同作成ソング、という水戸黄門の印籠を手にしたBob Geldofはまず自分の所属するレコード会社を説得し、無料のレコード生産の約束を取り付けます。そして、レコード会社のオフィスから、知り合い、知り合いじゃないにかかわらず、片っ端から大スターたちに電話をかけ続け、エチオピアの飢餓に苦しむ人たちを助けようじゃないか、クリスマスソングを作ったのでレコーディングに協力して欲しい、有名なミュージシャンに協力してもらわなくちゃだめなんだ、(一流の、ではなく”有名な”、という形容詞に、Phil Collinsは思わず苦笑したとか。)と執拗に声をかけ続けるという地道な泥臭い努力を日々続けます。脅しのような強い口調のBob Geldofの熱意に負けてか、キリスト教徒であろうとなかろうとキリスト教が根底にある文化で育った背景から持つ慈善の精神からか、次々とスーパースターたちのYesを取り付けるBob Geldof。レコーディングにはプロデューサーが必要。大物プロデゥーサーの賛同を得たものの、彼は2週間ではレコーディングは無理、と協力は断りましたがその代わりに自分のレコーディングスタジオを提供する約束をします。

11月24日
報道陣が注目する中、続々と大物スターがロンドンのレコーディングスタジオに集まり始めます。Band Aid結成です。Sting, Duran Duran, U2, Paul Weller, George Michael, Bananarama, Phil Collinsといった大物スターが、声をかけられてから1週間、2週間で忙しい予定をやりくりし、1日をこのレコーディングのために空けて集まるって本当にすごいことです。レコーディングにYESと言ったミュージシャンが顔をそろえる中、一人の大物がまだ到着しません。Culture ClubのBoy Georgeです。そこで、Bob GeldofはBoy Georgeを探します。前の晩、ニューヨークでコンサートだったBoy Georgeは夜中遊んでホテルに戻り、やっとベッドに入った午前4時。Bob Geldofからの電話が鳴ります。Bob「みんなもうスタジオに集まってるんだ、どこにいるんだよ!」といきなりの怒鳴り声。BG「誰?」Bob「ゲルドフだよ、すぐにロンドンのスタジオに来いよ。」BG「すぐって言っても今ニューヨークだし。。。」Bob「コンコルドがあるだろ。朝一番にニューヨークを発つコンコルドでロンドンに飛べば大丈夫だ。」という会話の後、Boy Georgeはやっぱり寝ちゃって朝一番のコンコルドは逃したものの、最終便には搭乗し、午後6時にはロンドンのレコーディングスタジオに現れるんです。すごいでしょ。
レコーディングは、Feed the World~の合唱の全員合唱の録音(これが最初の録音。メディアがスーパースターたちのスーパーショットを撮影し、翌朝の新聞紙面掲載に間に合わせるための意図的なスケジューリングです)と、それぞれのスーパースターに歌わせたソロとPhil Collinsのドラムス、Duran DuranのJohn Taylorのベースのパートが収録され、夜8時頃には全てのパーツのレコーディングは終了。そこからMidge UreとBob Geldof、ミキシングのエンジニアでの仕上げ作業 - ソロのパーツから一番効果的なものを選択し、Midge Ureがあらかじめシンセサイザーで完成させてきた楽器演奏とのミックスというエンジニアリング作業が始まります。

11月25日
午前8時、伝説のクリスマスソングを録音したカセットテープができあがります。(はい、カセットテープです。)その足でBob Geldofはそのカセットテープを持ってBBCラジオ局へ。Ratsの新しいアルバムのプロモーションのためにインタビューを受けることになっていたBob GeldofはスーパースターたちがBand Aidというひとつのバンドの下に歌ったDo They Know It’s Christmasについて熱弁をふるいます。そしてこの歌が初めて世の中に流れ、人々の耳に届きます。その時にBob Geldofは言いました。このクリスマスソングを好きである必要はない。とにかくレコードを買って欲しい、と。

そして早速レコード生産が始まります。B面はインストルメンタルで、レコーディングにどうしても参加できなかったDavid BowieやPaul McCartoney、そしてレコーディングに参加したスターたちのメッセージがメロディーにかぶせて録音されているレコードです。

11月29日
レコード発売。Do They Know It’s Christmasのレコードが店頭に並びます。レコードショップでの販売はもちろん、普段ならレコードを販売したりしないようなデリのようなお店からハロッズまでが販売に協力。レコードは飛ぶように売れます。50枚、100枚といったまとめ買いもかなりあったそうです。イギリス中が毎日、お店に列をなしてレコードを買うという現象となり、BBC1ラジオ局は1時間に一度このレコードをかけます。スーパースターたちのFeed the Worldとい訴えがイギリス中の人々の心をとらえ、すぐにヒットチャートNo1をヒットするのはもちろんのこと、イギリスで350万枚のレコード販売という前代未聞の記録を達成しました。もちろん、世界中でこの歌はヒットしレコードも売れまくりました。

これがBob Geldofが、ニュース番組でエチオピアの飢饉を知ってから1か月という短い期間でエチオピア人を救おうという基金が誕生させるという大偉業を成し遂げたタイムラインです。インターネットもEメールもテキストもチャットもなかった時代のことです。

1か月という短い期間でこんなレコードを作ったこともすごいことなんですが、ここまでにかかわった全ての人たちが、そしてレコード販売に関わった全ての人たちがノーチャージ、かかったコストは自腹、だったことです。このレコードの売り上げは1ペニーも関係者の懐に入っていないんです。Boy Georgeもコンコルド、自腹で乗ったわけです。
ところが、冷血だったのはイギリス政府。VAT(消費税)を免除するわけにはいかないと。。。売上があるからには税金はかかるでしょ、あたりまえ、と、サッチャー首相はガンとして首を縦にふりません。

さて、この続き、このストーリーにおけるリーダーシップについての検証は来週~。
2017-08-02
とても恐縮しているんですが頑張って書きました
先日、とても胸をうたれました翻訳家の岸本佐知子さんの文章をご紹介します。

この世に生きたすべての人の、言語化も記録もされない、本人すら忘れてしまっているような些細な記憶。そういうものが、その人の退場とともに失われてしまうということが、私には苦しくて仕方がない。どこかのだれかがさっき食べたフライドポテトが美味しかったことも、道端で見た花をきれいだと思ったことも、ぜんぶ宇宙のどこかで保存されていてほしい。

小さい頃、忙しく行き交う人々を眺めていますと、ふと「この人たち全員にすきな食べ物があって、家族がいて、苦手なものがあるんだ」と気づき、人生というんでしょうか、世の中というんでしょうか、うまく言えないけれど人間ひとりひとりの密度に圧倒されていました。漠然とですが、できることなら、ひとりひとりの人生について知りたいし、困っているのなら助けてあげたい、と胸がいっぱいになったのを覚えています。でも、私、子どもだからナア、なんて。
いざ大人になってみると、街行く人にとって私はただの他人だと気づき、度胸もないので、ブライアントパークで泣いていたおねえさんの涙の理由も分からず仕舞いで一日は終わってしまいます。こんなにたくさんの人に囲まれているのに、誰かの人生に目を向ける前に、自分の毎日にいっぱいいっぱいになってしまいます。私、大人のはずなんだけどもナア。


岸本佐知子さんのことばは、私の中にすとん、ときれいに落ちた気がしました。誰にも言えない秘密だって、ささやかなしあわせだって、きっと宇宙のどこかでしずかに保存されているのかもしれない。意味のあるものになっているのかもしれない。私がどうにもできなかったことだって、私の知らないところで救われているかもしれない。
この世のすべての人について知るのは、そりゃあまあ無理なので、宇宙が保存していますようにとお祈りをするしかありませんが、今回、アクタスの一員として、決して関わることでなかったであろうどなたかの人生のお手伝いができたことを、とても幸せに思います。


NY支店 早立

(写真はうちのお猫様です。関係ないですが、かわいいので。)