アメリカで働くことを考えたとき、「労働時間はどのくらいなのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

中には「アメリカ人は定時で退社」というイメージを持たれる方もいるでしょう。しかし、データで見ると、アメリカの労働時間は他国と比べてやや長い傾向にあります。

本記事では、BLS(米国労働統計局)やOECD(経済協力開発機構)のデータをもとに、アメリカの平均労働時間について解説します。

併せて、現地の労働に関わる制度やアメリカ人の働き方に対する考え方についても見ていきましょう。

アメリカでの労働条件が気になる方や現状の労働環境を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。

アメリカの平均労働時間はどれくらい?

アメリカでの労働時間の平均や他国と比較した場合の位置づけについて、政府やOECDのデータを使って詳しく見てみましょう。

アメリカの平均労働時間

米国労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics / BLS)の2024年の調査結果によると、アメリカでの1日あたりの平均労働時間は次のとおりです。

  
平日週末
フルタイム労働者の場合
8.4時間5.6時間
パートタイム労働者の場合
5.3時間5.4時間

複数の仕事を持つ人は週末に働く割合が高いと報告されており、フルタイム労働者の週末の労働時間にはその影響が出ていると考えられます。

【参考】BLS「American Time Use Survey Summary|AMERICAN TIME USE SURVEY — 2024 RESULTS Table 4」

日本や諸外国との比較

アメリカの労働時間についてより理解を深めるため、ここでは年間労働時間で、日本やほかの国と比較してみましょう。 OECD(経済協力開発機構)による2024年のデータをもとに、いくつかの国の労働時間を並べると、以下のようになります。

  国名労働者一人あたりの年間労働時間
ペルー2,263時間
メキシコ2,193時間
韓国1,865時間
アメリカ1,795時間
カナダ1,697時間
オーストラリア1,627時間
日本1,617時間
イギリス1,511時間
ドイツ1,331時間

※OECD「Hours worked」の2024年データをもとに作成

データを参照できる42カ国中、もっとも労働時間が長いのはペルーで、もっとも短いのはドイツという結果でした。

アメリカは12番目に労働時間が長く、日本(27番目)よりも上位に位置します。

直近5年ほどの推移を見ても、アメリカでの一人あたりの年間労働時間は1,790~1,820時間ほど。過去のデータを振り返っても、先進国の中では比較的上位に位置しています。

各国ともサービス残業などの実態が反映されていない可能性はありますが、統計上、アメリカは先進国の中では比較的労働時間が長めといえます。

【参考】OECD「OECD Data Explorer・Average annual hours actually worked per worker」

アメリカが「労働時間が長い国」に位置づけられる理由には、次の3つの点が挙げられます。

  • 労働時間に法的な上限がない
  • 年間休日数が少なくなりやすい
  • 給与体系と成果主義で仕事量が増えやすい

それぞれについて、順に見ていきましょう。

労働時間に法的な上限がない

アメリカで長時間労働が見られる背景の一つに、労働時間に直接的な上限を設ける法的仕組みがない点が挙げられます。

アメリカ全土に適用される労働法「Fair Labor Standards Act(FLSA)」について、日本の労働基準法と比較しながら、その特徴を見てみましょう。

アメリカ
FLSAに基づくルール
日本
労働基準法に基づくルール
労働時間上限規制なし上限規制あり
(1日8時間まで・週40時間まで)
時間外労働の上限原則なしあり
(原則月45時間・年360時間)
割増賃金
(残業代)
週40時間を超えた分に対して1.5倍以上
※管理職などの「適用除外者(Exempt)」は対象外
時間外・深夜:25%以上
休日:35%以上

※米国労働省「Wages and the Fair Labor Standards Act」と厚生労働省「確かめよう労働条件 法令・制度のご紹介 1.労働基準法」をもとに作成

日本では労働基準法により、労働時間に上限が設けられています。

一方、アメリカでは週40時間を基準に割増賃金が発生する仕組みはありますが、上限の設定はありません。

州独自の労働法でも、一般的には上限規制は設けられておらず、時間外労働をどこまで認めるかは企業の判断に委ねられます。

アメリカでは制度上、長時間労働が発生しやすい構造となっているのです。

年間休日数が少なくなりやすい

長時間労働の背景には、アメリカでの休日や休暇が少なくなりやすい点も挙げられます。 まず、休日について、簡単にアメリカと日本の祝日を比較すると、以下のようになります。

 アメリカ日本
祝日日数11日(連邦祝日)+州ごとの祝日 ※年によって12日の場合あり16日
祝日の定め方連邦法 + 州法祝日法
祝日の捉え方重要な祝日を除くと、通常どおり稼働する企業もある医療・介護やサービス業などを除き、多くの企業が休業日とする

アメリカには、米国全土に共通の「連邦祝日」と、州ごとに定められた祝日の2種類があり、住む場所によって祝日の日数が異なるのが特徴です。

また、銀行や政府機関は祝日に休みとなりますが、民間企業では、クリスマスなどの重要な日を除き、通常どおり稼働することがあります。

祝日でも働く場合があるため、まとまった休みを取りにくく、結果として労働時間が長くなりやすいといえます。

加えて、アメリカの有給休暇制度にも年間の労働時間が長くなりやすい側面があります。

日本では、法律によって年次有給休暇の付与日数が定められていますが、アメリカには付与を義務づける連邦法がありません。

有給休暇の有無や付与日数は雇用主の判断に委ねられるため、アメリカでは、有給休暇が福利厚生の一部として見られています。

給与体系と成果主義で仕事量が増えやすい

アメリカで長時間労働が発生しやすい背景には、独自の給与体系と成果を重視する考え方も影響しているでしょう。

アメリカの労働法(FLSA)に基づき、従業員はポジションによって「Exempt(エグゼンプト:免除)」と「Non-exempt(ノンエグゼンプト:非免除)」の2つに大別されます。

 ExemptNon-exempt
主なポジション管理職・専門職・営業職など一般事務・現場作業員など
給与体系一定額以上の固定給 (年俸制が多い)時給制または月給制
残業代の支払い免除 (支払われない)非免除 (一定の労働時間を超えると1.5倍の割増賃金が発生)

「Non-exempt」の労働者の場合、労働時間が週40時間を超えると、雇用主には割増賃金の支払い義務が生じます。

このため、企業側は残業代によるコストを抑えるため、残業時間を管理する傾向があります。

一方、「Exempt」の労働者は残業代の支払いの対象外です。企業側にとっては、労働時間が増えても人件費が変わらないため、時間を厳格に制限する動機が働きにくくなります。

この結果、Exemptの労働者は、長時間労働になりやすい場合があります。

また、アメリカは「成果主義」が強い国。特に、上層の役職や専門職であるほど、どれほど成果を出したかが評価されます。

こうした背景から、高い報酬やキャリアの維持のために、自発的に長時間働くケースが見られます。

アメリカ人の労働時間に対する考え方

ここまで、アメリカでは長時間労働になりやすいことを詳しく見てきました。

しかし、それは制度上の構造によるもので、実際には「効率性」や「個人の働きやすさ」が重視されています。

ここからは、アメリカで働く際のマインドについて詳しく見ていきましょう。

効率よく成果を出すことを重視

アメリカでは「いかに効率よく成果を出すか」という点が重視されます。

これは先に解説したとおり、成果主義により、結果を残せているかどうかが評価の中心とされるためです。

アメリカでは、ポジションごとに役割や責任範囲が明確に定義されているため、それぞれの業務範囲がはっきりしています。

その分、自分の責任として対応するプレッシャーはありますが、求められる成果を出せていれば、働き方に一定の裁量権が認められることも少なくありません。

職場環境によっては、期待される役割を果たしていれば、定時での帰宅や長期休暇の取得が柔軟に扱われるケースも多くあります。

アメリカでは、単に長時間働くことが評価されるのではなく、いかに生産性高く結果を出せるかが評価の基準となっているのです。

ワークライフバランスを重視

アメリカでは、仕事だけでなく、プライベートを大切にする考え方が広く浸透しています。

やるべき業務が終われば早く帰宅するといったように、メリハリのある働き方が理想的です。

こうした価値観を背景に、「個人の働きやすさ」も重視されており、企業側でも働きやすい環境を整えるケースも多く見られます。

無料のランチ提供やヨガスペースの設置、在宅勤務の導入などは、そうした取り組みの一例です。

ワークライフバランスを意識して仕事を選ぶには、業務内容だけでなく、働きやすさや福利厚生にも注目することが重要とされます。

アメリカで自分に合った働き方を実現するには?

アメリカでは、法制度上の労働条件もあるものの、有給休暇や残業に関する取り決めについては、雇用主に委ねられる部分があります。

そのため、企業によって労働条件に差が出ることも少なくありません。

現状の労働環境を見直し、よりよい条件を求めるなら、転職も選択肢の一つです。

仕事の内容や報酬面だけでなく、労働環境も含めて応募先を選ぶことが重要になります。

ただし、実際の働き方や労働環境については、求人票だけでは分かりにくいケースも多く、個人で把握するのが難しい場合があります。

そこで、より多面的に比較・検討するには、転職エージェントの活用が有効です。

現地事情に詳しいエージェントを活用すれば、労働環境の確認から相場を踏まえた給与交渉まで、的確なサポートを受けられます。

アメリカでの就職・転職に特化したActusでは、20年以上の実績をもとに、条件や希望に合わせて、求人選びから面接対策まで実践的な支援を提供しています。

自分に合った労働環境を求めて転職を考えるなら、まずは履歴書の簡単登録、またはお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

アメリカの労働時間に関するFAQ

最後に、アメリカの労働時間についてのよくある質問とその回答をご紹介します。

Q
アメリカでの平均的な労働時間はどれくらいですか?
A

米国労働統計局(BLS)のデータによると、アメリカ人の1日あたりの平均労働時間は以下のとおりです。

  • フルタイム労働者:約8.4時間(平日)
  • パートタイム労働者:約5.3時間(平日)

フルタイム労働者の約30%は週末に働いており、週末の平均労働時間は約5.6時間です。

Q
アメリカの労働時間は日本より長いですか?
A

OECDのデータを参照すると、アメリカの年間平均労働時間は日本より長い傾向にあります。

OECDの2020~2024年の調査データを比較すると以下のとおりです。

  • アメリカ:約1,790~1,820時間(年間1人あたり)
  • 日本:約1,590~1,620時間(年間1人あたり)

日本では有給休暇の付与が法律で義務づけられていますが、アメリカでは休暇の有無や付与日数は企業の判断に委ねられます。

また、祝日が比較的少ないため、アメリカでは全体的に休みが少なくなりやすく、結果として労働時間に差が出ていると考えられます。

Q
アメリカ人の休暇日数は何日ですか?
A

アメリカでは法律による有給休暇付与の義務づけがなく、一律で決められた日数はありません。

一般的には、フルタイムの従業員に対して年10~15日程度を付与する企業が多いですが、付与の有無や日数は企業との取り決め次第です。

アメリカでの就職・転職の際は、福利厚生の一部として有給休暇についても確認することが大切です。

まとめ

統計データで見れば、アメリカの労働時間は他国と比べてやや長いとされていますが、実際には「いかに効率よく成果を出すか」が重視されます。

単に長く働くのではなく、成果にこだわりつつ、プライベートとのバランスの取れた、メリハリのある働き方が理想とされます。

そうした理想の働き方を実現するには、報酬体系に加えて、休暇制度や職場環境など、細かな条件にも目を向けて企業を選ぶことが大切です。

連邦法や州ごとの労働法など、現地の制度についても正しく理解した上で、自分に合う労働環境を手に入れましょう。


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